焼結ステライト(シザー)との出会い

自分はお客さんとハサミ(シザー)という触媒を

通してお客さんの髪とつながると考えているので

使う道具は徹底的にこだわっていますが

今回はその一つである

ハサミのお話をしようと思います。

なかでも特別なシザー

焼結ステライト

焼結ステライト製シザー(廃盤)

焼結とは…

簡単にいうと金属を粉末状にし、融点より低い温度で

加熱・押し固める事によって金属が結び付く状態

高級理美容鋏の材質である

粉末ハイス・パウダーメタル・スーパーゴールド

などもある意味、焼結(粉末冶金)です。

鋏には造り方が何種類かあり

鋳造・・・金属を型に流してつくる(ステライト)

rimg2023

ステライト (まだらのような鋼材が確認できる)

粉末冶金・・・粉状の金属を押し固めて形を作る(超微粒子鋼・粉末系)

rimg2018

焼結ステライト 均一に曇っている(これはステライトを粉状にして再度結合させた為)

鍛造・・・金属を圧縮して形を作る(様々な材料に使われる)

rimg2025

標準的なコバルト合金(ツヤがある)

鋳造・鍛造だから良いとか悪いとかは

ハサミに関してはそこまでは関係ないと思います。

同じパーマ液を使っても

ベテラン美容師と若手美容師に

仕上がりの差がある様に材質はあくまで材質だと思います。

それより造り手によって

良し悪しの『差』が出来るのではないかと思います。

このシザーの最初の出会いは10年位前にさかのぼります。

当時、お客さんを

カットし始めた駆け出しの美容師であった頃

最高のシザーが欲しいなと思って探し出したのが

この材質のシザーでした。

何を持って最高とするのか?

それは人それぞれ違うとは思いますが、

使うのなら絶対的にこだわった物がいいと思い

探しあてたのがこの材質のシザーでした。

しかし、

その焼結ステライトと出合った時は

DADAの植村さんを尊敬していた為に

違うメーカーのステライトを購入してしまいました。

そして

いつか焼結ステライトを手に入れたいと思っていましたが

時代の流れにより廃盤になり売っている所は

日本になくなってしまいました。

ステライトは基本的に鋳造でしか造れないので

それを粉末状にして焼き固めるなんてコストの掛かる事

どの業者さんのも今はやらないそうです。

加工(シザーの形にする)も大変で現在は粉末ハイスがあるため

余程の変人ではない限り必要ではないからだそうです。

まぁ、ここにいますが…

ある出会いによってたまたま

『焼結ステライトの材料もってないですよね?』

と聞いた所

『1丁分だけだったらありますよ!』

『えっ!?本当ですか?少し考えていいですか?』

・・

・・・

そして後日、

『お願いします!最高の1丁を造って下さい!』

と、なり造って頂きました。

勝手な妄想ですが

私は子供が2人いるのでどちらかが美容師になって

10年目になった時にでも受け継いでもらえたらなと思います。

(軽く書きましたが早くても30年後…

自分60才を超えてるな…と思いました)

切れ味はステライト独特の逃げにくい(髪を捉える)感じと

粉末ハイスの『スパンッ』と切れる感じを足して2で割った

様な感じで非常に力強くハサミ自体に『芯』を感じます

後は

シザーとして見れば鋼材的には

オーバースペックだと感じます。

ここまでの性能は必要ないかもしれません。

個人の感覚なので説明しにくいですが

『まったく遊びがない感じでそれが永遠に続く感じ

『究極のブラントカットシザー』

『どんな髪質・厚さでも本当に狙った所をレーザー光線で切っている感じ』

という感想です。

とても気に入って使っております。

この世におそらく二度と出回らないシザーに出会えた事

無理言って造っていただいた事に感謝いたします。

本当にありがとうございます。

大事にしますね。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。